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不倫慰謝料の相場はいくら?金額の決まり方と増額請求手順

不倫慰謝料の相場はいくら?金額の決まり方と増額請求手順

不倫の事実に対する慰謝料の相場は、約100万円〜300万円と言われていますが、実は不倫した場合の慰謝料には決まった金額や相場といったものは、厳密に言えばありません。

というのも、不倫の慰謝料とは、不倫した者が不倫された方に与えた精神的苦痛に対して支払う損害賠償のことですので、「これをしたから100万円」というような、精神的苦痛を数字に置き換えて計ることができないのが理由です。

しかし、不倫の慰謝料には相場を引き上げる要因となるものは存在しますので、今回は、不倫をした場合の相場はいくらになり、また、慰謝料を増額させるにはどういった要因や証拠が必要になるのかについて、解説していきます。

ちなみに、不倫行為は法律的には「不貞行為」を行ったケースを想定しており、配偶者以外の異性とセックスをしたこと前提で話をすすめていきます。

不倫の慰謝料で相場が決まる3つのパターン

不倫の慰謝料で相場が決まる3つのパターン

不倫を理由として離婚問題で、過去の判例における不倫慰謝料の相場は、約100万円〜500万円が多くなっています。もちろんケースバイケースで100万円を下回る時もありますし、500万円を上回る場合も当然あります。

この相場にばらつきが出てしまうのは、不倫の態様や夫婦間の事情によってさまざまであるため、一概には規定できないというのが現状です。

不倫しても離婚や別居せず夫婦関係を継続する場合:50万円~100万円

パートナーの不倫が発覚しても離婚や別居に至らない場合、慰謝料の相場は50万円〜100万円という低めの数字になっています。

これは、離婚や別居するほど精神的な苦痛が伴わなかったとみなされるためであり、離婚すること自体の慰謝料を支払う必要がないと思われてしまうのが要因です。

離婚自体慰謝料とは?
離婚をすることで生活が苦しくなったり、離婚すること自体が今後の生活に少なからず影響を与える場合に請求する慰謝料のこと。離婚や別居をしない場合はこの慰謝料は請求できません。

慰謝料が50万円だったケース

平成4年12月10日東京地方裁判所の判例。2人の子どもがいる夫が部下の女性と肉体関係を持つ。交際期間は半年強であり、不倫関係を主導したのは夫であった。しかし、離婚には至らず不倫の一時的な責任をもつ夫の罪は許している。夫はすでに不倫関係を解消しており、不倫相手の女性は勤務先を退職していた。よって、この慰謝料50万円は不倫相手の女性が支払う判決が下された。

慰謝料が100万円だったケース

平成3年8月9日名古屋地方裁判所の判例。夫婦は結婚約20年。現在も妻と同居している。夫がフィリピン人女性と2年以上の不倫関係があったが、その期間夫は家業をおろそかにはしていなかったことなどが考慮され、慰謝料100万円の判決が下された。

不倫が理由で別居に至った場合:100万円~200万円

離婚をしなくても、不倫が別居の引き金になった場合の慰謝料の相場は100万円〜200万円になります。離婚自体慰謝料に比べれば金額は低いですが、別居に伴う苦労分を上乗せした形になりますね。

慰謝料が200万円だったケース

平成10年12月21日の東京高等裁判所の判例。夫婦は結婚37年を経て、同年3月に離婚。子どもが1人いる。夫は不倫相手と会社で知り合い、結婚17年目から同棲にいたり、20年目には不倫相手との間に子どもをもうけた。妻から不倫女性へ慰謝料請求があり、長期間に渡る不倫により離婚を余儀なくされた妻の精神的苦痛は深刻であるとして、慰謝料請求200万円の判決が下された。

離婚に至った場合:200万円~500万円

不倫が原因で離婚に至った場合は、200万円〜500万円が慰謝料の相場になります。これまでの流れでなんとなくご理解いただけたかと思いますが、長年連れ添ったかもしれないパートナーと別れることが、裁判所では最も精神的苦痛が大きいと判断しています。

慰謝料が300万円以上だったケース

平成11年3月31日大阪地方裁判所の判例。不倫期間が20年の長きに渡り、その結果夫婦が別居し、夫婦関係は破綻していた。そしてお互いが小学校の教師であった。不倫の始まりは、夫と不倫相手のどちらからだったのかはっきりしなかった。以上の結果、慰謝料300万円の判決が下された。

後述しますが、単純に離婚すること自体が慰謝料の相場を引き上げるのではなく、不倫された者がどの程度の精神的苦痛を受けたかにより、慰謝料が決定します。

そこには慰謝料を請求する側の資産や収入の多いすくない、不倫相手の数、婚姻期間の長さ、子どもの人数などを加味していき、総じて年数や人数が多いと高額になる傾向があります。

不倫の慰謝料が相場以上の高額となる14の要因

不倫の慰謝料が相場以上の高額となる14の要因

すでにお伝えしているように、不倫の慰謝料を算出する普遍的な式や具体的な基準は存在しません。しかし、慰謝料の相場を決める基準となるものは存在します。

例を挙げると、

  • 不倫関係の期間と頻度
  • 結婚期間
  • 夫婦関係の状況
  • 不倫により不倫された者に生じた結果
  • 不倫した者の社会的地位や支払い能力 など

このような事情を総合的に考慮し、評価していくことになります。

不倫相手との年齢差

不倫相手との年齢差が大きいほど,思慮分別の差や浮気の主導性に影響が出るとみなされ、慰謝料増額の要素とされています。不倫を主に主導していたのが配偶者なのか、それもとも配偶者の不倫相手なのかによって慰謝料の金額は増減する可能性があります。

ただ、たとえば夫(妻)と不倫相手が同じ職場で、夫(妻)が不倫相手の上司だった場合、夫(妻)から浮気相手を誘って肉体関係を持つに至ったなら、上司と部下という関係上、浮気相手は夫(妻)からの誘いを断りにくいと考慮されます。

つまり、そういったケースでは不倫相手の責任は小さいと判断され、慰謝料の金額が減額となる可能性があります。逆に、浮気相手が主導者と判断されたなら、慰謝料は増額要素となります。

不倫関係の期間と不貞行為の頻度

一概には言えませんが、不倫の期間が短いと金額は低く、長期間だと金額は高くなる傾向にあります。期間が短いのと長いのとでは、精神的苦痛の度合いも変わってくるという見方ですね。

これもあくまでも目安ですが、半年以内は短期間、半年〜1年程度を中期間、1年以上の不倫期間を長期間と捉えています。不貞行為の頻度・回数も同様で、回数が多くなれば多くなるほど、慰謝料の金額が高くなる傾向にあります。

不倫相手との間の子供の有無

夫(妻)が不倫相手との間に子どもを作った事実は極めて大きなショッキングな出来事です。そのため、浮気相手との間に子どもができた場合は大きな増額要素となるでしょう。

不倫相手が妊娠や出産をした

不倫中に妊娠が発覚した場合や、妻または不倫相手が子どもを出産したとなれば、不貞行為の事実が動きようのない証拠として残ることになりますので、慰謝料の額は大幅に増額することになるでしょう。

また、不倫した夫が不貞相手の子に養育費を払うような場合、夫婦の家計にも多大なる悪影響を与えることになりますので、単純に不貞行為があったケースに比べると、慰謝料の金額はかなりの高額になるでしょう。

婚姻期間の長さ

結婚期間が長い夫婦の不倫ほど、婚姻相手に与えた精神的苦痛は大きいと判断され、慰謝料の相場は高くなる傾向にあります。目安ですが、5年以下は短期間、6年〜10年以下は中期間、10年以上だと長期間の結婚期間と言われています。

婚姻期間と有責度でも判断される

下記の表は千葉県弁護士会が編纂した算定表ですが、この参考資料によれば、婚姻期間を中心に、不貞行為の悪質性を責任の程度(軽度、中度、重度)でわけて金額を出しています。

婚姻期間2年から3年であれば200万円から300万円と、婚姻年数に応じて高額になるのがわかります。

表:婚姻期間・不貞行為の有責度合で算出した基準表(単位・万円)

婚姻期間 ~1年 1~3年 3~10年 10~20年 20年~
責任軽度 100 200 300 400 500
責任中度 200 300 500 600 800
責任重度 300 500 700 900 1000

婚姻年数による慰謝料の増額幅

裁判所の司法統計では平成10年までの慰謝料がいくら支払われたのかが公表されています。これは離婚調停が成立した際の慰謝料額の統計ですが、200万円~400万円以内が40%になっています。

婚姻期間 6ヶ月未満 6ヶ月以上 1年以上 2年以上 3年以上 4年以上 5年以上 6年以上
慰謝料額(万円) 138 141 169 177 228 229 265 269
婚姻期間 5年以上 6年以上 7年以上 8年以上 9年以上 10年以上 20年以上 25年以上
慰謝料額(万円) 265 269 311 352 353 534 699 740

図を見ると、結婚生活が7年目になる夫婦の慰謝料は311万円が平均ですので、不倫をして離婚をした場合の慰謝料は上限300万円程度が相場になると思って良いかと思います。

夫婦関係の状況

不倫発覚前の夫婦関係が円満であるほど、不倫によって夫婦関係に与えたダメージは大きいと判断できます。しかし、不倫が発覚する前から夫婦関係がよくなかった場合は、円満であった場合と比べてダメージが小さいと判断され、慰謝料の金額は低くなります。

不倫発覚前に婚姻生活が完全に破綻していた場合

不倫をする前から別居状態であったり、夫婦関係が完全に破綻していたなら慰謝料請求そのものが認められませんので注意しましょう。

社会的地位

有責配偶者の社会的地位が高いほど慰謝料は増額し、無責配偶者の経済力が低いほど高額になる傾向があります。収入のある夫と、収入のない専業主婦の場合が分かりやすいかと思います。

不倫の事実を認めない場合

浮気が明らかに認められる状況であるにも関わらず、不倫相手が否認を続けるようなケース。この場合、被害者の心情を踏みにじったとされ、慰謝料が増額となる場合があります。

不倫の指導者

どちらが不倫に積極的であったかどうかがポイントになります。もし不倫相手のほうが主導であれば、夫(妻)よりも不倫相手に慰謝料を請求したほうが高額となるでしょう。

不倫による障害の発生

不倫されたことが原因で、不倫された者にうつ病など精神的損害が起こり、それを裏付ける証拠があれば、慰謝料の金額が高くなる傾向にあります。

また、不倫が原因で結婚生活が破綻し、不倫された者の地位が不安定になった事情等も慰謝料額の評価に影響します。

不倫した者の社会的地位や支払い能力

不倫した者の収入資産や社会的地位が高い場合は、慰謝料の金額も高くなる傾向にあります。慰謝料が低すぎると、社会的に許されてしまう・再発の可能性が考えられてしまいますし、不倫について責任ある者については相当の支払義務が認められるべきであるという考えからです。

そのため、不倫をした者の収入資産や社会的地位に合わせた慰謝料を請求される傾向があります。

自分自信の落ち度

夫(妻)が浮気をするようになった落ち度(性交渉に応じないなど)が自分自身にある場合は,慰謝料は減額される傾向にあります。自分も不倫していたり、配偶者に冷たく接し続けていた場合が該当します。

あなた自身の落ち度が高ければ高いほど、慰謝料は減額されるケースがありますので、自業自得の面があると思われる場合は、慰謝料の減額請求をされないように、自分自身の言動には注意しましょう。

既婚だと知っていたかどうか

不倫相手が夫(妻)のことを既婚者だと知っていたか否かがポイントになります。もし知っていて不倫をしていた場合、不倫行為そのものが非常に悪質であると判断され、慰謝料増額の可能性が高まるでしょう。

不倫相手の認識や意図の有無

不倫相手に慰謝料を請求するためには、浮気相手に「故意または過失」がある必要があります。つまり、あなたの配偶者が結婚をしていることを知りながら肉体関係を持った場合や,結婚していることに明らかに気づくはずだが、注意を払っていなかったために肉体関係を持ってしまった場合とでは、故意で不貞行為を行った場合のほうがより悪質と判断されますので、その分慰謝料が高くなる傾向にあります。

不倫相手が積極的に夫婦仲を壊そうとしていた場合はさらに増額

不倫相手がもし夫婦の平穏で円満な家庭を積極的に壊そうとしている意図や言動があった場合は、慰謝料の金額がさらに上乗せとなる可能性があります。

例えば、

  • 不倫相手が夫婦を離婚させようとしている
  • そのあと自分が結婚をしようと思っている
  • 不貞行為が発覚した後も不貞行為を継続している

などが挙げられます。

不倫慰謝料の請求に必要な5つの証拠

不倫慰謝料の請求に必要な5つの証拠

慰謝料は、離婚の際に「必ず」ついてまわるものではありません。なぜなら、慰謝料は不倫された人の精神的苦痛を埋めるためのものだからです。

具体的には以下のものが有効な証拠とされています。

  • 不倫をした夫(妻)がラブホテルに出入りしている写真
  • 不倫があったことを示すメールのやり取り
  • 不倫された夫(妻)がうつ病になった場合はその診断書
  • 不倫までは結婚生活がうまく言っていたことを示す日記 など

こういったものが客観的な不倫の事実を示す証拠として該当します。

ラブホテルに出入りする写真

不貞行為の証拠としては写真やビデオなどの「映像」が有効です。ただし、

  1. 愛人と2人で旅行しているだけ
  2. 愛人の部屋へ出入りしているがすぐ出てくる
  3. ラブホテルに入っても10分程度で出てくる
  4. そもそもビジネスホテルにしか行かないといった情報だけ

では、肉体関係があると立証するには不十分とされるケースがあります。

不倫相手とのやり取り(メールや通話記録など)

携帯電話のメール内容を見ただけでは証拠とはなりませんので、メールの内容は撮影するか自分に転送する、あるいはプリントアウトするなどして記録しておく必要があります。

また、不貞行為の存在がわかるメール(例えば、性的関係があったことが示唆されているメール、「気持ちよかったね」など)が複数回やり取りされていていれば、不貞行為の強力な間接証拠にはなると思われます。

会話を録音したテープなど

会話の中で配偶者が不貞の事実を認めるような言葉を発した場合、それをテープに録音することでも有効な証拠となります。(探偵などに依頼すれば、相手との電話での会話を録音することでも証拠として利用できます)ただし、相手を挑発したり、強引な誘導をすることで得た証言だと証明力は低いと考えられますので注意しましょう。

第三者の証言

もしパートナーの不倫相手が職場関係の人物であれば社内で噂になっている可能性がありますので、そこから証言が得られれば証拠となりえます。これは近所の証言も一緒ですね。

その他の証拠

カードの明細・領収書

配偶者が浮気相手と利用したと考えられるホテル代や旅行費の明細書など。

GPSによる行動履歴

現在ほとんどのスマートフォンにはGPSがついています。その昨日を利用し、配偶者の疑わしい行動が証明できれば、それが証拠となりえます。

もし不倫慰謝料請求ができる証拠がない場合

ここまで紹介した証拠の一覧は、あくまで調停や訴訟を行う場合です。

  • パートナーと不倫相手のただの親密なメール
  • 2人が仲良く映っているツーショット写真
  • ビジネスホテルに出入りしている写真

これは法律的には不倫の証拠として一切機能しません。あくまでも肉体関係を持っているであろうことが証明もしくは推測できるものでなければ確たる証拠としては認めてもらえません。

証拠はなくても請求自体は可能

不倫の慰謝料を請求する場合、証拠などがなくとも慰謝料の請求自体は可能ですが、証拠がるとないとでは請求の難易度ははやり雲泥の差がでると思われます。

しかし、もし不倫の証拠がない場合には、内容証明郵便などを送り、あたかも不倫の証拠を握っているかのように思わせて謝罪だけを求め、不倫の事実を認めさせてしまう方法が考えられます。

不倫の事実さえ書面上認めさせてしまえば、これが不倫の重要な証拠となり、実際に慰謝料を獲得することが可能となります。

探偵などの証拠集めのプロに依頼する

このような証拠を集められれば御の字ですが、個人で集めるのには限界がありますし、裁判所で証拠とて立証し、認められるのかの判断は一般人では難しいと言えます。

慰謝料の請求を確実に成功させるためには、多少お金を払ってでも法律の知識や経験が豊富な弁護士か、興信所などの探偵さんに一度でもいいので相談されるのがよいかと思います。

証拠集めを興信所などに依頼するメリット

配偶者の不貞行為の証拠を集めることは、個人でできなくはないのですが、非常に手間も時間もかかりますので、あまりお勧めができないというのがホンネです。訴訟時に証拠不十分と思われたり、憶測や推測といっていると捉えられてしまう可能性が高いため、調査のプロである探偵社や興信所に依頼するのがよいとは思います。

多少胡散臭いと思われる気持ちはわかりますし、ぼったくりをする探偵や興信所もありますので、身構えてしまうのは当然ですが、探偵さんも無理強いをしてお金を取ることはしませんので、無料相談を活用し、話だけでもして見る程度の軽い気持ちで臨んでみてはいかがでしょうか?

何かしらのアドバイスなどをえられるかもしれません。

不倫の慰謝料請求を確実にして高額な慰謝料を獲得する手順

不倫の慰謝料請求を確実にして高額な慰謝料を獲得する手順

次に、慰謝料を請求する際の請求方法についてご紹介していきます。

不倫慰謝料の獲得方法は3パターンある

不倫慰謝料は両方に請求できるとはいっても「どちらから」「どれくらいの比率」でもらうことになるのでしょうか。以下の3パターンに分かれます。

1:配偶者のみ

例えば夫が不倫をして、不倫相手の女性に慰謝料を支払うほどの収入がないケースでは、配偶者である夫のみに慰謝料請求することになります。

2:不倫相手のみ

不倫相手のみからもらう場合には2つの場合が考えられ、1つは配偶者に支払う経済力がない場合。2つめは慰謝料を請求する貴方が”不倫相手にのみ制裁を与えたい“場合です。

不倫相手だけは許せない」という方は不倫相手にのみ慰謝料を請求することがあります。

3:両方からもらう

慰謝料という債務を二人で負担してもらう方法。割合はどちらの責任が大きいかによって負担すべき割合が変わります。その割合に応じて、それぞれに慰謝料を請求することになります。

両方が不倫をしていた場合は?

いわゆるダブル不倫というやつですが、まずはどちらが離婚の原因を作ったのかをハッキリさせる必要があります。お互いに同程度の過失・責任があった場合は「双方ともお互いに請求しない」として、話合いの中で相互に請求を放棄する方法も妥当と思われます。

まずは直接会って話し合いの場で請求

交渉ごとはヒートアップしてしまったほうが負けです。浮気された怒りや悲しみから感情的になってしまう気持ちはわかりますが、慰謝料の請求交渉の場だけは冷静に自分を律してください。

相手が取り乱すのをあなたが制するくらいであればいうことはありませんが、あくまで第三者であるかのように冷静になっている状態で交渉に臨みましょう。

すぐに証拠は出さず自白をするよう誘導する

あなたがパートナーの不貞行為の事実を証明する証拠を持っていたとしても、すぐにどのような証拠があるか開示してしまうのは得策ではありません。慰謝料の額を決定するのは不貞行為の程度(頻度や期間)です。

交渉の初期段階では「不貞行為の事実を知っている」ということを伝えるのみにとどめておきましょう。そうすることでどこまで知っているのか相手はわからないので、ボロを出す可能性がたかまります。

相手の弱みを把握する

相手の弱みを握るのは交渉の際にもっとも重要なテクニックになります。あくまでも「弱みにつけ込む」のではなく、「弱みを把握して交渉に利用する」という認識でお願いします。すると、相手はどのように行動すれば一番自分にとって都合のいい状態を手に入れられるのかを考え、結果的にこちらの要求を飲んでくれる可能性が高くなります。

パートナーの弱みとして、「なにがなんでも会社にはばれたくない」というのがあったとすれば、交渉の際に「会社の人にばれる可能性」というのをほのかに匂わせます。

相手の懸念点を探る

こちら側の要求を受け入れない場合、相手がどこに懸念点を置いているのかをしっかりと把握しましょう。「慰謝料が高すぎて了承できずにいる」のと「慰謝料を払うのがいや」なのでは、対応は大きく違ってきます。

直接会うのが嫌なら内容証明郵便で請求する

探偵に不倫の調査を依頼したい!「調査報告書」について

内容証明郵便は言ってしまえば通常の書面による請求と大差はありませんが、郵便局が書面の内容を証明してくれることから、後々証拠として有効になります。ただ、公的文章のような体裁があるので、請求された側に心理的プレッシャーを与えることも可能です。

内容証明郵便に書く内容

一般的には、

  1. 不倫の事実
  2. 不倫慰謝料を請求する旨
  3. 請求金額

などの内容を記載することとなります。ただ、誤った内容で送付してしまうと、後々不利に働く可能性がありますので、文案の作成・送付は弁護士などに相談して進めていただくのがベストではあります。

もし要求通りの慰謝料を支払ってきた場合

相手が要求通りの金額を支払ってきた場合、争いが繰り返されないように、すべて清算が終わったという内容の『示談書』を作成しておくとよいでしょう。

示談書に記載すべき内容

示談書は、約束の内容を証明する『証拠』として残しておくことが可能です。もし慰謝料の支払いがされなかった場合、示談書を元に強制執行をすることができます。公正証書と似たようなものですね。

  • 不倫・浮気の事実関係
  • 慰謝料を支払う旨
  • 慰謝料の金額の記載
  • 慰謝料の支払い方法
  • 慰謝料の支払い期限
  • 夫(妻)に近づかないという約束
  • 不貞行為の事実や和解の内容は秘密を厳守すること
  • 今後この件を蒸し返さないことの確認

以上の内容を分かりやすく書いておけば安心でしょう。

相手からの反応がない場合

もう一度内容証明郵便を送るという方法もありますが、このような場合は、調停や訴訟などの法的手続きの準備をすることをお勧めします。

慰謝料の支払いを拒否された場合

理由としては「不倫の事実はないから払わない」、「お金がないから要望の金額は払えない」「半分なら払える」というケースが考えられますが、いずれにしても下記の調停を申し立てる必要があります。

調停を申立てて請求する

話し合いや内容署証明郵便でも反応がない場合は、離婚慰謝料調停を申し立てて請求することになります。詳しい申し立て手順は「裁判所:慰謝料請求調停」を参考にしていただければと思いますが、大まかには以下の内容で進んでいきます。

慰謝料請求調停に必要な書類

  • 家事調停申立書及びその写し1通
  • 標準的な申立添付書類(申立ての段階では特になし)

申立費用

  • 収入印紙:1200円分
  • 連絡用の郵便切手:800円前後

調停の流れ

離婚調停は以下の流れで進みます。

  1. 家庭裁判所へ調停の申立て
  2. 調停期日の決定
  3. 第一回の調停
  4. 第二回以降の調停
  5. 調停の終了

訴訟による不倫慰謝料の請求

訴訟を起こせば裁判官が最終的な判断をしますので、最終的にはどんなかたちであれ解決を図ることができます。ただ、解決までの期間が長い事、裁判手続きに弁護士費用が負担となることがネックとはなります。

不倫相手との示談も有効

不倫相手と協議または訴訟の最中に解決が図れ、示談が成立しそうな場合には、当時者間で合意した内容に基づいて、「示談書」で確認することが行われています。

示談書以外にも、合意書、確認書、契約書などの表題により、不倫問題の解決時に書面が作成されます。当時者どうしで作成しても構いませんが、できるだけ法律の専門家(弁護士、行政書士)へ依頼して作成しておくほうが安心です。

不倫慰謝料を請求する際に知っておくべき注意点

不倫慰謝料を請求する際に知っておくべき注意点

次に、不倫の慰謝料を請求する際に気をつけるべきポイントをお伝えします。

慰謝料は不倫相手とパートナーに請求できるが総額が増える訳ではない

慰謝料は配偶者だけでなく、不倫相手にも請求ができます。ただ、両方に請求できものの、請求できる慰謝料の額に変わりはなく、2倍などの数字になることはありません。慰謝料は「精神的な苦痛」を金額に換算して請求するもので、不倫相手が分かっているかいないは関係ないのです。

無理な要求をしないことも大切

配偶者に不倫を受けた側はどうしても憎しみなどの感情を持つことが予想されます。そのため、不倫相手へもできるだけ高額な慰謝料を請求したいと思っているはずです。しかし、不倫問題をスムーズに解決したいなら、慰謝料請求する相手側の情報も加味して現実的な対応策を検討することも大切です。

もし不倫相手に資力がなければ、現実離れした慰謝料を請求しても相手側は応じることは出来ません。不倫相手が支払えるギリギリのラインを見極め、不倫問題によるトラブルを敬遠するような立場に相手側があれば、早期に請求に応じる可能性は高いでしょう。

不倫の慰謝料請求を離婚後にするのは絶対にやめる

一旦、離婚が成立してしまうと、相手方はもう終わった事だと認識し全く話が進まなくなる可能性があり、話合いでの解決が困難となる可能性があります。金額について合意に至った場合には、公正証書で離婚協議書を作成して、「いつまでに」「いくら支払う」というのも明記しておきましょう。

口頭のみの約束では、相手が合意を守ってくれるか不明ですし、万が一支払わなかった時に強制執行などの法的手段を取ることが困難となる可能性もあります。

慰謝料請求の確実性を高めるなら弁護士に相談

相手が完全に非を認めていて、相当額の慰謝料を払うことに同意しているようであれば弁護士への依頼は必要ないでしょう。しかし、要求を鵜呑みにしない人も多い筈です。

  • 配偶者がDV気味である
  • まともに話し合いをしようとしない

このような場合には弁護士への依頼を検討してみましょう。不倫の程度にはそれぞれの事情が深く関係し、不倫が理由の離婚に対する慰謝料請求もそれぞれの夫婦により様々です。そのため安易に感情だけで判断せず、不安を抱く全ての方に法律の専門家である弁護士への相談をオススメします。

無料で相談を受付けている法律事務所もあります。この記事でだいたいの仕組みがわかり、離婚に踏み切るのであれば弁護士への相談をお考えください。

不倫の慰謝料請求を弁護士に相談するメリット

不倫の慰謝料請求を弁護士に相談するメリット

もし慰謝料を払うことに同意しているなら弁護士への依頼は必要ありませんが、要求を鵜呑みにしない人も多い筈です。

  • 配偶者がDV気味である
  • まともに話し合いをしようとしない

このような場合には弁護士への依頼を検討してみましょう。

調停や裁判で有利な状況を作れる

あなたの希望する条件で解決させたいなら、弁護士が代理人となって、あなたの主張を正しく理解し、共感してもらえるように話してもらえます。

証拠が手に入りやすすく反論もできる

証拠写真を手に入れるにも、常に相手の行動を把握するのは非常に手間です。こういった場合に、弁護士は証拠を集めて来てくれますし、提出された証拠に対して擁護する内容を話してくれますので、証拠自体の価値を疑わせることができる可能性があります。

解決までの時間が短縮できる

離婚調停が長引きそうな場合、申立ての取り下げなどの判断も相談できますので、お互いが一歩も譲らない場合は、示談金という形で解決する提案をおこなってくれますので、解決までのスピードは速くなるでしょう。

弁護士費用の相場

弁護士費用の相場

弁護士費用の内訳については、相談料・着手金と報酬金などがありますが、平均すると以下のようになります。

  • 相談料:0〜5万円
  • 着手金:30万〜60万円
  • 報酬金:解決時に得た金額の10%前後

問題は、慰謝料問題を有利に解決してくれる弁護士を探すことです。支払う金額に差がないなら、慰謝料問題を得意とする弁護士に依頼したいと思うのは当然でしょう。

不倫が理由の離婚に対する慰謝料請求もそれぞれの夫婦により様々です。そのため安易に感情だけで判断せず、直接相談にいって決めるのが良いかと思います。

不倫の慰謝料請求にも時効がある

不倫の慰謝料請求にも時効がある

慰謝料を請求せずに離婚が成立してしまった後、「やっぱり慰謝料を請求したい」と後悔した場合、以下の2つのどちらかが経過したら時効となります。

相手が不倫していることを知った日から3年

厳密には「不倫していることを知り、かつ慰謝料請求が可能な状態になってから3年間」です。例えば、相手が行方をくらませていて居場所も連絡先も知らない状態では、慰謝料の請求もできませんので、この3年間の起算には当てはまりません。

また、時効期間の3年の間でも離婚が成立してしまうと事実関係や大事な証拠がうやむやになり、慰謝料請求が難しくなるケースも少なくありません。

最後に不倫関係があってから20年間

不倫の事実を知らないまま最後の不倫関係から20年が経った、不倫の事実を知っているが居場所が分からなかったり、連絡が取れない状態が20年続いた、このような場合に慰謝料の請求権は時効となり消滅します。

最後に

繰り返しになりますが、慰謝料の相場を決定するのは「不倫関係の期間と頻度」「結婚期間」「夫婦関係の状況」「不倫により不倫された者に生じた結果」「不倫した者の社会的地位や支払い能力」の主に5つの項目です。

よく覚えておきましょう。

不倫慰謝料の請求で証拠収集なら第一探偵事務所

不倫慰謝料の請求で証拠収集なら第一探偵事務所

不倫の慰謝料請求をお考えでしたら、先ずは不貞行為がある事を証明できる証拠を入手することがおすすめです。証拠がない段階で配偶者を問い詰めてしまうと、警戒をされてしまったり、危険を察知して不倫相手とお別れをして証拠を隠蔽されることはよくあることです。

証拠さえあれば、不倫相手とも法的に別れさせることもでき、さらに慰謝料請求が可能です。ぜひ早い段階で第一探偵事務所までご相談ください。

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