離婚裁判にかかる平均期間とは?早期に終わらせる方法
離婚調停が不成立になった際に申し立てるのが離婚裁判になりますが、離婚裁判を行う場合に、いったいどの程度の期間が必要なのかが、裁判では気になる一つのトピックかと思います。
離婚裁判を行う場合、家庭裁判所による第一審、地方裁判所や高等裁判所で行う第二審、第二審でも決まらなかった場合に行う最高裁判所での第三審の順で離婚裁判は行われますが、第一審でスムーズに終わるとしても約1〜2年、上訴(第二審)以降の場合は3年以上かかるケースもあります。
また、離婚裁判は調停前置主義といって、まず離婚調停を行わないと離婚裁判を申し立てる事は出来ませんので、調停を含めるとさらに期間は延びていく事になります。
離婚裁判はかなりの長丁場になる事が予想されますので、今回は離婚裁判の期間と、できるだけ早くに終わらせる方法などをご紹介していこうと思います。
離婚するまでにかかる期間の平均
まずは、離婚するまでにかかる期間の平均を見ていこうと思います。離婚裁判単体だけでも1年以上かかるのは冒頭でもお話ししましたが、離婚には協議離婚、調停離婚、裁判離婚の三種類がありますので、それぞれにどの程度の期間がかかるのかを見ていきましょう。
協議離婚の場合|最短で1日から可能
まず、離婚する際に約9割の方がとる離婚方法がこの協議離婚ですが、夫婦間の話し合いがスムーズに行き、離婚届さえ書いて役所に提出すれば、最短1日で離婚することは出来ます。
離婚調停の場合|期間は約半年から1年ほど
平成28年度の司法統計によると、婚姻関係の調停・審判の事件のうち、終了までの期間は以下のようになっています。
総数 | 66,485 | |
1月以内 | 4,136 | 6.2% |
3月以内 | 19,628 | 29.5% |
6月以内 | 23,466 | 35.3% |
1年以内 | 15,746 | 23.7% |
2年以内 | 3,377 | 5.1% |
2年を超える | 132 | 0.2% |
参考:婚姻関係事件数 終局区分別婚姻期間別 全家庭裁判所
上記のデータを参考にすると、離婚調停を申し立てた場合の終了までの平均は申し立てから4~5ヶ月で約半数の人が離婚に至るとおもわれます。
申立後、約1ヶ月半で第1回目の調停が入り、その後およそ1ヶ月~1ヶ月半毎に調停期日が開かれますので平均すると3回程度の調停で離婚調停の成立・不成立が決まることが多いということになります。
離婚裁判の場合|期間は約1年半ほど
離婚調停の期間同様、平成30年の司法統計を参考にすると、離婚裁判が終了するまでの期間は以下のようになります。
離婚裁判を提起した場合、提起から10.7~13.2ヶ月前後で終わると考えてよいと思います。ただ、もし第1審の判決に対しては高等裁判所への控訴があった場合はさらに期間は伸びる事になりますので、その点は覚悟しておかないといけないかと思います。
離婚裁判を行う際のおおまかな流れ
では、離婚裁判を行うにあたって、どのような流れで進んでいくのかを簡単にご紹介します。
離婚裁判の申立て
まずは離婚の訴状を作って裁判の申し立てを行います。そして、原告もしくは被告の住所地管轄の家庭裁判所へ提出します。この時に、親権者の指定や養育費について、また慰謝料や財産分与などの請求も行うことができますが、できればこの段階から弁護士への依頼をされるのをおすすめします。
なぜ弁護士に依頼したほうが良いのかは、後述の「離婚裁判が得意な弁護士に依頼する」をご覧ください。
離婚裁判に必要な書類
- 訴状(2通)
- 調停が不成立と証明する「夫婦関係調整事件不成立調書」
- 夫婦の戸籍謄本
必要な費用
- 印紙代:1万3,000円(慰謝料・財産分与等求める場合は追加あり)
- 郵便切手代:東京地方裁判所の場合は6,400円
第1回目の口頭弁論の通知
裁判所へ訴えが認められた場合、裁判所によって「第1回口答弁論期日がこの日になります」という通知がきます。この第1回口頭弁論期日が決まると同時に、相手方(被告)にも裁判所から期日の呼出状が郵送されます。
被告からの反論を書いた答弁書の提出
被告が訴状を受け取ると、そこに記載されているあなたの主張に対する反論の旨を書いた答弁書を作成し、裁判所に提出する流れになります。
第1回目の口頭弁論開催
第1回目の口頭弁論は、訴状の提出から約1ヶ月後に行われ、月に1回のペースで行われます。双方の主張や証拠の提出などを行い、主張と反論を繰り返し行う流れになりますが、弁護士に依頼しておけば通常は弁護士が代理人として出廷することになりますので、本人が出廷する事はあまりありません。
第2回目以降の口頭弁論も、1回目で決まらなかった事の続きを繰り返し行う形になります。
和解案の提示が来る
尋問前や尋問後などを通じて、裁判所から和解案を提示して勧告を行うケースもありますが、勧告に応じるのかどうかは申立人たちの自由です。ただし、裁判所からの和解勧告については重要な意味がありますので、慎重に判断検討をすることが必要です。
離婚裁判の判決
お互いの主張を出し終わった後、裁判所の判決が出されることになります。裁判の終わり方としては以下の3つがあります。
判決
判決書には原告の請求を認めるか、認めないかの結論とその理由が記載されることになります。
和解
裁判中に和解をすすめられることもあります。もし双方が納得して和解が成立すれば「和解調書」がつくられ、その段階で裁判が終ります。
取下
裁判を起こした原告が訴えを取り下げた場合でも裁判は終了します。
判決後の流れ
離婚裁判の判決が確定すれば、確定から10日以内に原告は「判決の謄本」と「判決確定証明書」を添えて、本籍地または住所地の市区町村役場に離婚届を提出することで離婚は完了します。こ夫婦の著名や押印、証人の著名・押印も必要ありません。
離婚をする際の手続きや流れとしては、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4つの方法があります。「協議離婚」は夫婦間の条件に合意ができ、市区町村役場に離婚届を提出して受理されれば成立する最もカンタンなもので、「離婚」の約90%が、この協議離婚で成立しています。 離婚の手続きが簡単で高額な費用...
離婚裁判の期間が長引く要因
次に、離婚裁判の期間をできるだけ短くする為に、まずはどう言った内容が裁判を長引かせる要因になるのかを確認しておきましょう。
準備に時間がかかれば期間は延びる
離婚裁判の基本は全て書面でのやり取りですので、手続きに関する書類の用意や、事実を証明する証拠を揃える必要があります。また、争う事案が複雑であったり、裁判で争う内容が多くなれば、それだけ証拠を準備するのに時間はかかりますし、審理が長引く可能性はあります。
もし、控訴や上告をして最高裁まで争った場合、最低でも3年程度の期間がかかると思った方が良いでしょう。
争う内容に関する証拠の有無
上記と重複する部分もありますが、例えば不倫離婚について裁判で争っていた場合、パートナーが不倫をしていたという証拠などを揃える必要があります。この時、裁判でも使える不倫の証拠にはある程度の「質」が求められる事になりますので、下記のような証拠でないと裁判では使えないものとされる傾向があります。
裁判で有効とされる証拠の例
- 3回以上のラブホテルへの出入り写真や映像
- 最低でも40分以上のラブホテルでの滞在時間を証明する写真や映像
- 5回以上の不倫相手宅への出入りを収めた写真や映像 など
裁判ではあまり効力がないとされる証拠の例
- 携帯電話に残された不倫相手とのメールのやり取り
- 携帯電話に残された不倫相手とのラブラブツーショット写真
- ホテルの領収書
- クレジットカードの怪しい明細 など
離婚する事以外に争う事がある場合
裁判で「離婚するしない」を争っているならお互いの妥協点を見つけるだけで比較的短い期間での解決が望めますが、もし慰謝料や親権、養育費などの支払いについて争っている場合、離婚裁判の期間は長くなる傾向にあります。
慰謝料の請求
パートナーの不倫や浮気に対して慰謝料の請求をする場合、証拠を揃えたり、いくらの請求をするのかが争われます。
親権者の決定
子供の親権をどちらが持つのかを争う場合は、状況によりますが慰謝料請求以上に揉める可能性があります。
養育費の請求
そもそも養育費を払うのか、払わないのならその根拠は何か、払うならその額はいくらなのかなどが争われます。
財産分与の割合
離婚する際、夫婦の財産を半分に分けることを財産分与と言いますが、その財産を形成するにあたってどの程度自分(相手)が寄与したかを考慮する必要があるため、ここでも双方の主張がぶつかり、裁判の期間が延びる要因になります。
控訴すると長期化する
上記のような内容で争っている時に証拠がなかったり、内容を詰めきれない場合は第一審で敗訴する可能性もあります。そうなった場合は控訴する事になりますので、ここまで半年以上かけてきたものが、また同等の期間をかける事になりますので、かなりの長期化が予想されます。
長期化をさけるなら和解を検討する
「離婚裁判を行う際のおおまかな流れ」で、裁判官から和解の提案が来ることもあるとお伝えしましたが、早期に裁判を終わらせるならこの提案に乗るというのも手です。あただ、その和解案に納得できなければ、軽い気持ちで受けると後々に後悔するケースが多くなりますので、慎重に決めていくのが良いかと思います。
離婚裁判にかかる費用相場
ちなみに、離婚裁判にかかる費用としては約80万円がかかります。裁判費用にはそうしても弁護士の存在が必要不可欠になりますので、裁判大幅に増える要因としては「弁護士費用」が大半です。
もちろん、弁護士をつけずに自分だけで戦うこともできますが、裁判までいけば必ず相手方も弁護士をつけてきますし、離婚のプロ相手に丸腰で挑む事に特に利点も勝ち目もありませんので、弁護士への依頼は必ず検討されることをおすすめします。
離婚裁判は調停離婚でも話し合いがつかなかった場合の最後の手段として検討すべきものですが、調停離婚との大きな違いは、離婚成立までにかかる費用についてです。離婚調停の場合は約2000円で申立てができる調停離婚と違い、裁判離婚は約80万円のお金がかかります。裁判費用が大幅に増える要因としては「弁護士費用」...
離婚裁判を最短かつ有利に決着させるに必要な事
最後に、離婚裁判を最短で終わらせるために必要なことや、やっておくべきことをお伝えしておきます。
事前の準備が何よりも大事
裁判では事前準備が全てのものを言います。裁判所に口頭弁論で立つ時には、事前に全ての書類を提出できる状態になっていなければいけませんので、弁論の場に立つまでにどれだけ準備ができるかで裁判の行方は変わってきます。
確かに離婚裁判の平均期間は10~11ヶ月前後ですが、半年以内に終わるケースもゼロではありません。そのため、裁判で有利な結果を勝ち取るには、「できれば離婚調停の段階から弁護士に依頼することが一番望ましい」と言えます。
ですが、調停が終わった段階や、裁判中でもまだまだ間に合いますので、離婚問題が得意な弁護を探して、まずは相談してみましょう。
離婚裁判が得意な弁護士に依頼する
これまで散々弁護士への依頼をすすめてきましたが、実際に弁護士に依頼するとどう言ったメリットがあるのかをご紹介していきます。
弁護士に依頼するメリット
- 弁護士に依頼すれば裁判そのものを有利に進めるポイントがわかる
- 法律的知識・経験が裁判を有利に進めることができる
- 弁護士に依頼することで裁判所に行かなくて良くなる
- 弁護士が裁判に必要な書面を作成してくれる
- 弁護士は不利な状況も逆転できる可能性がある
弁護士は依頼者が不利にならないよう、有利な状況になるように働きかけてくれるのが最も大きなメリットではありますが、不利な状況からでも、弁護士は状況をひっくり返せるだけの可能性を模索してくれます。
裁判となった場合には、まず無料相談を活用しながらでも、今後の対策やどうすれば良いかなど、まずはアドバイスを受けてみては如何でしょうか?
弁護士に依頼するデメリット
弁護士に依頼するデメリットとしては費用が発生することです。弁護士費用の内訳として、「相談料」「着手金」「成功報酬」となっていますが、おおよその相場は以下の通りです。
- 相談料:1万円/時間または無料
- 着手金:30万円前後
- 成功報酬:30万円前後
1人の弁護士に相談して決めることはせず、弁護士もセカンドオピニオンを気軽に聞くことができる時代ですので、複数の弁護士に無料相談をした上で比較検討してみるのもいいでしょう。
離婚裁判が得意な弁護士の探し方
- 知人に弁護士を紹介してもらう
- 弁護士会から紹介してもらう
- 法テラスから弁護士を紹介してもらう
- インターネットから検索して探す など
インターネットで検索するだけでも多くの弁護士事務所のサイトや比較ページを見ることができます。その中でも上位に出てくるという事は、それだけユーザーが探してよく訪問されているサイトになりますので、ある程度の信頼性は得られるかと思います。ただ、必ず比較検討を行わないと、その弁護士が良いかの判断ができませんので、弁護士が多く載っているサイトを選んでいただくのが良いかと思います。
和解を検討するもしくは受け入れる
裁判所からの和解案を受け入れることで、早期に裁判を終わらせることはできますが、その和解案に納得ができなければ受ける意味はありませんので、多少妥協してでも早期に問題を片付けるのか、期間は長くなっても徹底的に戦うのかは、あなた次第ということになりそうです。
こういった問題も、弁護士に相談することで何かしらのアドバイスが受けられますので、積極的に活用していきましょう。
離婚裁判を早期に終わらせる方法まとめ
いかがでしたでしょうか。
離婚裁判の期間をできるだけ早く終わらせる方法をお伝えしてきましたが、やはり裁判では弁護士の存在が勝敗を分けるキーマンになりますので、離婚問題の解決が得意な弁護士への無料相談がおすすめです。
しかし、忘れてはいけないことは、裁判で一番大切なのは優秀な弁護士に相談することではなく、証言を裏付けることができる「証拠」を持つことです。
証拠の取得は弁護士ではなく探偵が専門家です。証拠の取得なら第一探偵事務所にお任せ下さい。
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